食洗機を買おうかどうか迷っている人から、よく同じ質問をされます。「うちの台所に置けるの?」「水道工事がいるって聞いたけど本当?」「容量はどれくらいあればいいの?」。答えはだいたい決まっているのに、情報が家電量販店のパンフレットと口コミサイトに散らばっていて、まとまって読める場所が少ないんですね。ここでは、はじめて検討する人が最初につまずく疑問と、すでに一台使っていて買い替えを考えている人が気にするポイントを、問いと答えの形で並べていきます。
食洗機は本当に手洗いより楽になるのか
結論から言うと、洗う手間はほぼゼロになりますが、入れる手間と乾かしたあとの片付けは残ります。ここを勘違いしたまま導入すると「思ったより楽じゃない」と感じる人が一定数います。
しくみを考えるとわかりやすいです。食洗機がやってくれるのは「洗う」「すすぐ」「乾かす」の工程で、70度前後の高温水とジェット水流を使うぶん、手洗いより油汚れの分解力は高くなります。手が荒れる、冬場の水仕事がつらい、という悩みはここでほぼ解消されます。ただし、食器をラックに並べる作業と、焦げ付きやご飯粒のこびりつきを軽くこそげ落とす予洗いは、人間がやる必要があります。
たとえば夕食後、フライパン2つ、鍋ひとつ、皿とコップが6人分というような場面を想像してください。手洗いなら20分近くかかる洗い物が、食洗機なら並べるのに5分、あとはスイッチを押して放置という流れになります。この「5分で済む」という感覚が、忙しい共働き世帯には大きな価値になるわけです。
例外もあります。木製の器、漆器、アルミ製の鍋、一部のプラスチック容器は高温に弱く、食洗機に入れられません。また、フライパンの油をまったくふき取らずに入れると、庫内のフィルターに油が溜まりやすくなります。「洗う手間がゼロ」と「何も考えずに放り込める」は、少し違う話だと覚えておくといいです。
据え置き型とビルトイン型、どちらにするか迷ったときの考え方
賃貸やマンションで今すぐ使いたいなら据え置き型、新築やリフォームのタイミングがあるならビルトイン型、というのが基本の分かれ方です。
据え置き型はキッチンのシンク横や作業台の上にそのまま置くタイプで、工事がいらず、分岐水栓という部品を蛇口に取り付けるだけで使えるものが大半です。賃貸でも原状回復が可能な範囲で設置できるケースが多いので、引っ越しのたびに持っていける点も利点です。一方でビルトイン型はキッチンのシンク下などに組み込むため、システムキッチンの交換やリフォームと同時に導入することになります。見た目はすっきりしますが、工事費用がかかりますし、賃貸では基本的に選べません。
具体的な場面で考えると、たとえば賃貸マンションに住んでいて、来月から新生活が始まる、というタイミングでは据え置き型一択になります。逆に、戸建てを新築していてキッチンのプランをこれから決める段階なら、ビルトインを組み込んでしまったほうが生活動線はきれいにまとまります。
ここで迷いやすいのが、据え置き型の「作業スペースが狭くなる」問題です。カウンターが広くない台所だと、食洗機を置いただけで調理スペースが半分近く減ってしまうことがあります。導入前に、実際の設置予定場所を採寸しておくことをおすすめします。見た目の大きさだけでなく、開閉時にドアがどこまで開くかも確認しておくと後悔が少なくなります。
タンク式と分岐水栓式、設置のしやすさはどう違うのか
工事や部品取り付けをまったくしたくないならタンク式、多少の作業は我慢できるなら分岐水栓式、というのが実務的な答えになります。
タンク式は、本体についている水タンクに手動で水を注いで使うしくみです。水道とつながずに使えるので、賃貸でも蛇口の形状を気にせず導入できます。ただし、毎回数リットルの水をタンクに注ぐ手間が発生しますし、使える水の量に上限があるため、大量の食器を一度に洗うのには向きません。分岐水栓式は、キッチンの蛇口に専用の部品を取り付けて、そこから直接給水するタイプです。水を注ぐ手間がない代わりに、蛇口の形によっては対応する分岐水栓が見つからないことがあります。
場面で言うと、一人暮らしで洗い物の量がそれほど多くない人は、タンク式で十分まかなえることが多いです。逆に4人家族で毎食まとまった量の食器を出す家庭だと、タンク式だと水の継ぎ足しが何度も必要になり、かえって手間に感じることがあります。
ここは迷うところですが、賃貸で蛇口の形状が特殊な物件、たとえばシャワーホース一体型やセンサー式の蛇口を使っている場合、分岐水栓そのものが取り付けられないことがあります。この場合は選択肢がタンク式に絞られますので、購入前に自宅の蛇口の型番や形状を確認しておく必要があります。賃貸の設備は入居者の判断で交換できないことも多いので、管理会社に取り付け可否を確認しておくと安心です。
容量は何人分を基準に選べばいいのか
一人暮らしや二人暮らしなら4人分前後、三人以上の家族なら6人分以上の容量を目安にするのが無難です。小さすぎると結局一日に何度も稼働させることになり、電気代と水道代のメリットが薄れてしまいます。
容量は「皿が何枚入るか」で表記されていることが多いのですが、実際には皿の大きさ、鍋やフライパンの有無で入る量が大きく変わります。カタログの枚数はあくまで標準的な小皿を想定した数字なので、直径が大きいパスタ皿や深さのある丼を使う家庭では、表記よりも少ない枚数しか入らないと考えておいたほうがいいです。
具体的には、4人家族で朝食と夕食をしっかり作る家庭の場合、茶碗、汁椀、おかず皿、コップ、箸、フライパン、鍋がワンセットで出てくる計算になります。これを一回で洗い切ろうとすると、表記上「6人分」とされているモデルでないと厳しい、という声をよく聞きます。逆に小さめの容量でも、朝と夜で2回に分けて稼働させれば問題なく回せる家庭もあります。
例外として、来客が多い家庭や、週末にまとめて作り置きをする家庭は、ふだんの人数より一回り大きい容量を選んでおくと余裕が生まれます。逆に単身者でほとんど自炊をしない人は、小型のタンク式で十分というケースも珍しくありません。容量は大きいほど安心ですが、設置スペースと価格も比例して増えるので、普段の食器の数を一週間ほど数えてみてから決めると失敗が少なくなります。
すでに一台使っている人が買い替えで気にすべき点は何か
買い替えを検討している人がまず見るべきは、乾燥機能の有無と、庫内の静音性です。初めて買う人は価格や容量に目が行きがちですが、何年も使ってきた人は「乾燥まで自動でやってくれるか」「夜間に回しても音が気にならないか」という、使い込んでわかる不満を解消したいと考える傾向があります。
しくみとして、乾燥機能にはヒーター式と送風式があり、ヒーター式のほうが乾きは早いものの消費電力は大きくなります。送風式は電気代を抑えられる代わりに、湿気の多い時期は乾ききらないまま庫内に水滴が残ることがあります。長年使ってきた人ほど、この違いを体感として知っているので、買い替え時には電気代と乾燥スピードのどちらを優先するか、自分の生活リズムに照らして選び直すことになります。
具体的には、共働きで夜遅くに食洗機を回し、翌朝すぐ使いたい食器がある家庭なら、多少電気代がかさんでもヒーター式の乾燥力を選んだほうが生活は楽になります。逆に日中に家族が在宅していて、食器を使うまでに時間の余裕がある家庭なら、送風式でも困らないことが多いです。
迷いやすいのは、予洗い機能つきのモデルに買い替えるべきかどうかです。予洗い機能があると、軽いこびりつき程度なら手でこすらずに済みますが、頑固な油汚れや焦げ付きには結局、事前のひと手間が必要になります。「予洗い不要」とうたわれていても、完全に何もしなくていいわけではない、という点は覚えておいたほうがいいです。買い替えの決め手は、今使っている機種で不満だった点をひとつだけ具体的に書き出してみることです。音なのか、乾燥なのか、容量なのか。それが決まれば、次に選ぶべき機種はかなり絞り込めます。

